第4回GPC環境勉強会:社会見学レポート『ゴミ処理施設を拡大したらオアフ島のゴミはまた増える?』

第4回GPC環境勉強会:社会見学レポート『ゴミ処理施設を拡大したらオアフ島のゴミはまた増える?』

2009年8月2日 担当:オオクマ-ジョンソン 孝江

g1.jpg5月の勉強会で「ハワイのゴミはどこへ行くのか」を学んだ私たちは、年間176万トンも捨てられるオアフ島のゴミのうち60万トンを高温度の熱で燃やし電力に変えてしまう、というH-POWERに俄然興味を持ちました。どんなゴミがそこで燃やされるのか、燃えカスはどこへ行くのか、燃やした煙は空気を汚染しないのか、、、。まずは自分たちの目で見て直接責任者の話を聞きたい、とホノルル市郡が定期的に行っているH-POWER見学ツアーに参加申し込みをしました。ところがなんと、市郡主催のツアーは1年先まで予約が一杯。そこで直接*H-POWERにGPC活動の趣旨を説明してお願いした結果、GPCだけの見学会を特別に組んでもらえることになりました。「環境にやさしいゴミ焼却&発電」とホノルル市郡が誇るH-POWERの見学レポートをお送りします。

g2.jpg6月下旬の爽やかに晴れた平日の朝、GPC勉強会メンバーのうち8名がオアフ島西部海岸線に広がる振興住宅地カポレイ地区の西端、前キャンベル工業団地の跡地に建設されたH-POWER工場を訪問しました。GPC特別視察団”を迎えてくれたのは、ホノルル市郡から同施設運営を委託されている民間の廃棄物エネルギー会社*COVANTAの従業員。最初に20分ほどの会社概要DVDを見たあと、工場長Robert A. WebsterさんからH-POWERのレクチャーを受けます。

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1990年創業以来、オアフ島各地の収集所から集められたゴミがこの工場で高熱によりいっぺんに焼却され、その蒸気によって電力が作られてきました。今ではオアフ島の電力の7%をこのH-POWERが供給しているそうです。(右の写真をクリックで拡大)
「ゴミを燃やす燃料はなんですか」
「この図でいうと、どこからどこへ水が入って蒸気となり、電気になるのですか」
「燃えたあとの灰はどこへ行くのでしょう」
「ゴミを燃やすときにダイオキシンが出ませんか」
次から次へと発せられる素朴な疑問、突っ込んだ質問にも、Robertさんは自信に満ちたにこやかな笑顔で答えてくれます。
「我々のゴミ焼却技術は環境保護局の環境基準をすべてクリアしています。華氏1600度から2300度の高熱焼却により、ダイオキシンやその他の酸化ガスなどあらゆる有毒物質が除去されます。空気汚染は100%ないとはいえませんが、排気ガスの99.2%は取り除かれます。そこで作られるクリーンエネルギーは45メガワット、約4万世帯分の電力使用量にあたり、年間3000万ドル(約30億円)の収益をもたらしているのです」
 

g4.jpgレクチャーが終わると、全員がヘルメットを被り、広い敷地内をゴミ処理工場の方へ移動です。右側の建物内(写真右)に、オアフ島じゅうの所定の場所から毎日250-300台のトラックにより運ばれてくるゴミが積まれていきます。建物の100メートル前あたりからゴミの強烈な臭いが漂ってきます。

 
 
 
g5.jpgハイテク設備のモニタールーム。磁石でゴミから鉄を仕分けたりベルトコンベアーで焼却炉に送られる様や高炉の温度などが四六時中この部屋から監視されます。停電に備えた設備内発電装置も万全です。
 
 
 
 
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中央に渡されたパイプを伝って、右側のゴミ仕分け場から左側の焼却炉に、乾燥処理された可燃ゴミが送られます。この左側の建物内にダイオキシンを除去する装置があるようなのですが、そこは見せてもらえませんでした。焼却後の灰は工場から3マイル離れた埋立地に運ばれます。
 
 
 
g7.jpgゴミの中から抽出される金属2万5千トン(年間)が鉄と鉄以外に仕分けされリサイクルに回されます。
 
 
 
 
 
1時間ちょっとのツアーを通して印象的だったのはゴミの山が発する強烈な臭いと、そんな環境の工場内でも笑顔を絶やさない工場長Robertさんの自信に満ちた姿でした。説明の中で、Robertさんは「わが社の優秀な技術者たち」と「環境によい」という言葉を何度も使っていました。そこからは、「我々は優れた技術を駆使して、社会のため、ハワイの人々のためになる仕事をしているのだ」という確たる自信と誇りが伝わってきます。そんな高い技術とミッションが、H-POWERで働く250人の従業員を引っ張り、1日24時間週7時間のシフトを20年近くも支えてきたのでしょう。
Robertさんによると、この種の「廃棄物焼却発電」は国土が狭く資源に乏しい欧州や日本で広く採用されており、アメリカ全体としては今まで非常に遅れていました。H-POWERは、合衆国の中でも埋立地が限られ資源を他に依存してきた島の州、ハワイならではの選択なのです。
廃棄物焼却発電のはじまりは第一次世界大戦の頃、石炭や石油が枯渇したオーストリアやドイツ、スペ